大学サークルでのリードギターとしての日々、そして現在はバンド”Entique”のギターボーカルとしてステージに立つ日々。
役割が変われば、ギターとの向き合い方も、ステージでの視界も劇的に変わります。
今回は、私が両方のポジションを経験したからこそ見えてきた、「それぞれの役割で求められる立ち回り」について深掘りします。

リードギターは「バンドの華」であり「アンサンブルの潤滑油」である
サークル時代の2年間、私はリードギターとして「どうすれば楽曲を彩れるか」に没頭していました。このポジションに求められるのは、単に難しいソロを弾くことだけではありません。
⚡️ ポイント:アンサンブルを補完する視点
- 「歌」を邪魔しない: リードギターの最大の任務は、ボーカルを輝かせることです。歌の隙間を縫うようなフレーズ(オブリガート)や、サビで広がりを出すための音作りが、楽曲の完成度を左右します。
- サウンドの隙間を埋める: リズムギターが刻んでいる裏で、どんな高音域を鳴らすべきか。サークル時代、私は「1音」の説得力にこだわっていました。
- 技術への探究心: ギターそのもののポテンシャルを最大限に引き出すのがリードの面白さ。ソロでのチョーキング1つで、会場の空気を変える力があります。
ポイントのまとめ リードギターは、楽曲に「感情の起伏」をつける役割です。ボーカルが物語を語るなら、リードギターはその情景を描く画家のような存在。サークルでの2年間で学んだのは、「自分が目立つべき瞬間」と「一歩引いてバンドを支えるべき瞬間」を見極める、俯瞰的な視点でした。
🛠 解決策:リードギターとして輝くための「引き算」の思考
- 「音数」を減らしてみる: 初心者の頃は隙間を音で埋めたくなりますが、実は「弾かない時間」が最も楽曲をドラマチックにします。ボーカルが歌っている最中は、あえて白玉(全音符)で支える勇気を持ちましょう。
- 音作りの「棲み分け」を意識する: ベースやドラム、バッキングギターと周波数がぶつからないよう、中高域を活かしたエフェクト設定を心がけます。これだけで、バンド全体の音がクリアになります。
- アイコンタクトのハブになる: リードギターは楽器隊の中で比較的自由に動けるポジションです。ドラムと目を合わせ、ボーカルの呼吸を感じ、バンドの熱量を調整するリーダーシップが求められます。
解決策のまとめ リードギターとしての2年間は、私に「聴く力」を授けてくれました。自分の指先だけを見るのではなく、バンド全体の音の中に自分がどう存在するべきか。この視点があるだけで、あなたの演奏はただの「コピー」から、生きた「アンサンブル」へと進化します。
🎤 実体験:サークル時代の「挫折」と「発見」
サークルに入りたての頃、私はとにかく速いフレーズや難しいソロを弾くことばかり考えていました。でもある時、ライブの録音を聴いて愕然としました。自分のギターが歌をかき消し、バンド全体がバラバラに聴こえたんです。 そこから「歌を聴く」練習を始めました。ボーカルの息遣いに合わせてフレーズを置くように変えた途端、メンバーからも「今のギター、最高だったよ」と言ってもらえるようになりました。

ギターボーカルが背負う「フロントマン」としての責任と喜び
リードギターが「楽曲を彩る華」だとしたら、ギターボーカルは「バンドの心臓」です。Entiqueでの3年間を通じて私が痛感したのは、ギターボーカルとは単に「歌いながらギターを弾く人」ではないということ。それは、バンドのメッセージを最前線で体現する表現者そのものです。
⚡️ ポイント:技術以上に求められる「安定感」と「説得力」
- リズムの柱になる: リードギターが自由に羽ばたくためには、ギターボーカルが刻むバッキングが揺るぎないものでなければなりません。歌いながらも、ドラムとベースを繋ぐ強固なリズムを刻む責任があります。
- 「音の空白」を恐れない: 歌を届けるために、あえてギターを弾かない。あるいはストロークを簡略化する。その「潔さ」が、結果として楽曲の説得力を生みます。
- 視線は「手元」ではなく「観客」へ: リードギター時代は指先を注視しがちですが、ギターボーカルは違います。3年目の今、私は「客席の表情」を見る余裕が、バンドのグルーヴを左右すると確信しています。
ポイントのまとめ ギターボーカルの難しさは、脳を「歌」と「ギター」に分割することではありません。それらを一つの「呼吸」に統合することにあります。Entiqueでの活動を通じて学んだのは、完璧な演奏よりも、バンドの顔として「今、何を伝えたいか」という意志を音に乗せる重要性でした。
🛠 解決策:ギタボ3年目で気づいた「ステージの立ち回り」
- ギターを「体の一部」にする: 意識しなくてもコードが押さえられるまで練習を追い込む。そうして初めて、意識の8割を「歌」と「パフォーマンス」に割くことができます。
- リードギターに「委ねる」勇気: 全てを自分でやろうとせず、ギターの美味しい部分はリードに任せる。この信頼関係が、ギターボーカルとしての余裕(オーラ)を生み出し、歌をより力強く響かせます。
- マイクスタンドとの距離感をマスターする: 歌いながら動く際、マイクとの距離が一定でないと音量が安定しません。ギターの弾き方以上に、この「姿勢の維持」がボーカリストとしてのクオリティを決定づけます。
解決策のまとめ ギターボーカルは、バンドの中で最も「多忙」なポジションかもしれません。しかし、自分の歌とギターが一体となって会場を包み込んだときの高揚感は、何物にも代えがたいものです。3年目を迎え、私はようやく「ギターを弾くボーカリスト」ではなく、「ギターという武器を持った表現者」になれた気がしています。
🎤 実体験:Entiqueでのステージが変わった瞬間
ギタボを始めた1年目は、ギターのミスを恐れて下ばかり向いていました。ライブ後の映像を見ると、一生懸命なのにどこか「閉じた」印象だったんです。 あるライブで、あえて難しいフレーズを簡略化し、その分しっかり前を見て歌うことに集中してみました。すると、お客さんの反応が劇的に良くなり、メンバーとのグルーヴも今までで一番噛み合ったんです。その時、「一番大切なのは音符をなぞることじゃない、届けることなんだ」と、ギタボとしての本当の役割に気づかされました。

【まとめ】両ポジションを経験したからこそ作れる「最高のアンサンブル」
リードギターとして「彩り」を学び、ギターボーカルとして「骨格」を学んだことで、私の中には一つの確信が生まれました。それは、「相手のポジションの大変さと喜びを理解している人ほど、バンドの音を一つにできる」ということです。
⚡️ ポイント:二つの視点が交差する場所
- 「歌いやすさ」を知るリードギター: ボーカルが今、どのフレーズで息を吸い、どこで感情を込めたいか。リード時代に歌を聴く癖をつけたことで、ギタボになった今、逆に「リードにこう動いてほしい」という理想を的確に伝えられるようになりました。
- 「音の隙間」を知るギターボーカル: リードギターがソロを弾いているとき、ギターボーカルがどう支えればソロが際立つか。経験があるからこそ、自分が一歩下がるべき瞬間が手に取るようにわかります。
- 共通言語の広がり: メンバーに対して「もっとエモーショナルに」といった抽象的な言葉ではなく、「ここはリードが前に出るから、自分はローカット(低域を削る)して中域を譲るよ」といった具体的な提案ができるようになります。
ポイントのまとめ サークル時代の2年間は、現在のEntiqueでの活動の土台になっています。異なる役割を経験したことで、私の音楽観は「個人の演奏」から「バンドという生命体の調和」へと進化しました。どちらか一方の役割に固執せず、両方の視点を持つことは、単なるスキルアップ以上の「音楽的な深み」をあなたに与えてくれます。
🛠 解決策:経験をバンドの「対話」に活かす3ステップ
- 「もし自分が逆の立場だったら」を常に問う: リハーサル中、リードのフレーズがぶつかっていると感じたら、単に指摘するのではなく「そのフレーズを活かすために、自分のバッキングをどう変えられるか」をまず考えます。
- 機材知識を共有する: リード時代の音作りの知識を、今の相方(リードギター)に押し付けるのではなく、相談役として提供する。これがEntiqueのような良好なバンド関係を築くコツです。
- 役割を超えた「曲の解釈」を深める: 歌詞の意味や楽曲の風景をメンバー全員で共有する際、両方の経験があることで、歌と楽器の両面からアプローチした解説ができ、バンドの意思統一がスムーズになります。
解決策のまとめ バンド内の衝突の多くは、互いの役割への無理解から生まれます。あなたが歩んできた「リード2年、ギタボ3年」というキャリアは、その溝を埋めるための最高の架け橋になります。Entiqueという場所で今私が体現しているのは、まさにこの「相互理解から生まれる熱量」なのです。
🎤 実体験:サークルとEntique、二つの世界を繋ぐもの
サークル時代、リードギターだった私は「歌をもっと聴け」と先輩に叱られてばかりでした。当時はそれが悔しかったのですが、いざ自分がEntiqueで歌い始めたとき、その教えの本当の意味を知りました。 逆に、今のリードギターが素晴らしいソロを弾いてくれたとき、私は誰よりもその難しさと価値を理解して、心から「最高だ!」と言えます。この「リスペクトの循環」こそが、バンドを長く、そして熱く続けるためのガソリンになっていると感じています。



